第108話 朝ご飯

 そして朝ご飯だが、ゼスは千切りにしたイモをフライパンに敷き詰め、じっくり弱火で火を通している。

「今焼けるでな。あとちょっと」

 イモの焦げる香りが胃袋を刺激する。これは美味しいに決まっている。


「さあできたぞな。イモのガレットじゃ」

 円盤状に成形して両面を焼いた、千切りのイモだ。たったそれだけなのに、妙に美味しそうな焼き色だ。

 ナイフで切り分けて食べてみると、表面はパリッと中はホクホクの食感で、良い火の通し方だ。これは美味しい。アッと言う間に一枚すべて食べてしまった。


「リリカ。残念じゃが、おかわりは無いぞえ?」

 ゼスがたずねるが、私は満足だ。

「そんな大丈夫よ。美味しかったわ。ごちそうさま」

 お礼を言うと、ゼスは鷹揚にうなずいた。

「うむ。よきかな。感謝の言葉は次の行動への活力よ」


 さて、今日も1日が始まる。頑張ろう。

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