第184話 最後の突き
私は泣きじゃくった。
縁も恩もあるゼスを殺す事に、ためらいがあるのは当然だった。今になって、冷静ではいられなくなっていた。
「どうした? 早くせい。ワシはな、他の誰でもない、リリカに首を取ってもらいたいのじゃ。他の者に譲るなど許さんぞ」
優しくも強い口調で、私に求めている。ゼスの覚悟は決まっていた。私だけが覚悟を決めかねていた。
私は
私は
私は
悩みに悩んで、苦しみに苦しんで、
トスッ
私の剣は、横に寝かせた突きで、その切っ先がゼスの首に刺さっていた。
「かふっ……見事……」
それが、ゼスの最後の言葉だった。
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