第5話 卒業の剣

 そんな修行にはげんでいる時、師範代は私に一本の剣をプレゼントしてくれた。

「キミに教える事は、もう何もないよ」

という優しい言葉と共に。


 そう。この剣は門下生の間でもよく話に上がっている、『卒業の剣』だった。

 ある門下生は、この剣を携えて諸国を巡る旅に出たり、ある門下生は、この剣を持って別な道場を持ったり。そのキッカケになる剣を、私は頂いたのだ。


 本来なら喜ぶ所のはずなのに、私はどうしていいかわからず、涙をこぼしてしまった。困った師範代は、「この道場に残って指導員になるもいいし、別な所に行くのもいい。よく考えてね」と、優しい言葉をかけてくれた。

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