第64話 夕飯の買い出し

「数十年も時間をかけて戦う事に向き合ったなら、あれだけ強いのも納得だわ」

 私の言葉に、ちょっとモジモジするゼス。いやちょっと気持ち悪い。

「いやはや、なんだか照れくさいのぅ。そんな風に評価されるなど、これまで一度も無かったからの。照れるわ」

 うん。まあ、努力の結果だけは評価できる。ただし“だけは”ね。


 とりあえずそんな他愛のないお話が終わって、そろそろお夕飯の買い出しなどをしないといけない時間になった。

 ある程度は支給があるものの、まだまだ色々と不足があるのは否めない。

「ゼス? 必要な品物とかってある?」

「おお、そうじゃ。包丁の切れ味が悪くてのぅ。研ぎ直すか新しいものを買うか、ちょっと付き合ってくれりゃ」


 そうか包丁か。料理の味にも直結する重要なアイテムだ。この際だから新しいのを買おう。

「じゃ、刃物屋も見ましょ」

 という事で、買い出しである。

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