第169話 準備万端

 たらふく食べてたらふく飲んで、まずは『西棟』に戻り、湯浴みをして身体を清めて就寝する。

 起床して次の日の朝にはお酒は残っておらず、なかなか調子がいい感じだ。普段ならお酒に弱く、すぐに二日酔いになってしまうのに。今日は大丈夫だ。


 とりあえず身支度を整える。騎士団の修練の時に着る服に着替え、髪には油をつけたクシでとく。ほのかな油の香りに滑る手触り。髪も良い調子だ。顔にも油を塗る。やはり手触り良く、ツヤも良い。

 そんなきっちりとした身支度をして、向かうは騎士団の武器庫。

 そこに収められている一振りの聖剣。それを改めて拝領する。剣がまとう清浄なオーラが、私の手すら清めてくれているようだ。その剣を腰に履き、まずは手応えを確かめる。

 修練場に私独り。聖剣を抜いて構え、いつもの型を演舞する。構え・踏み込み袈裟懸け・防御の構えをして・突き。

 うん。いつもの通りだ。何も問題は無い。


 準備は、物心両面で整った。

 では向かおうか、ゼスが待つ廃城へ。

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