第25話 吸血鬼の容姿

「はぁ。毎度毎度、よくこんな時間に突っかかってくるのぅ。ワシの睡眠時間も考えて欲しいものじゃ」

 容姿と同じような、少し高めの声音を響かせているが、その内容は悪態だった。

「さて、手早く済ませようかのぅ。面倒じゃ、まとめてかかってこい」

 玉座から立ち上がった姿は、なんとも幼い姿だった。

 金髪碧眼、長さは腰あたりまであり、しかも誰もが羨むクセなどまるで無いストレート。顔はまだ十代中盤といった幼さ。体型も細身で、胸の膨らみも小さいものだ。

 その幼い立ち姿を、裾の破れた赤いドレスで包んでいる。どこかに幽閉されていた貴族の子女と言われても、納得できる容姿だった。


「これが……伝説の吸血鬼……」


 私が少し逡巡している間に、騎士団小隊は彼女を取り囲み、討ち取ろうと数人が剣を振り上げた。

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