第192話 上司の会話

 そんな状況を外で見守っていたのは、騎士団長だ。何かと気にかけ期待した団員が、ひどい顔をして気力が沸かないのだ。それは心配にもなる。

「団長、お疲れ様です」

「おお。副団長か。ご苦労」

 彼に声をかけたのは、苦楽を共にした副団長だ。彼もまた、期待の新人のあまりの変貌ぶりに、心配になって来てみたのだ。


「リリカ、大丈夫でしょうか?」

 副団長が訪ねてみる。

「……こればかりはなぁ……。立ち直って欲しいものだが、相手が相手だからなぁ」

 団長も困り果てている。

 それはそうだろう。家族同然の相手を敵にして、それを殺したのだ。心痛は推し量っても余りあるだろう。


「これで立ち直れないようなら、騎士団を辞めて静養、といった事をした方がいい。後は、リリカ自身が決める事だ。待とう」

 辛抱強く待つのも、騎士としての務め。ましてや上司ならなおさらだ。


「……わかりました。では団長、私はこれで」

「おお、すまなかったな。たまに様子を見ていてくれ」

 そんな訳で、心配しつつも上司ふたりはその場を離れる。さて、どうなる事か。

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