第223話 バレた?

「あぁん?」

 その冒険者は立ち上がって私に対して凄むが、そこまで迫力は無い。風体からして熟練の冒険者なのだろう事はわかるが、いかんせん動きに無駄があり過ぎる。

 そんな貧弱な冒険者とにらみ合いをしていると、騒ぎを聞きつけた騎士団の人間たちが駆け寄ってきて、割って入ってきた。

「こら! お前ら騒ぎを起こすんじゃない! しょっぴくぞ!」


 まあそれで水をさされ、そのひと悶着は終わり。冒険者はお店を出ていった。


 残った私は店員さんに声をかける。

「もう大丈夫ですからね」

 にこやかに声をかけると、ちょっと安心したのか、その店員さんは頭を下げて「ありがとう」と言い、奥に引っ込んでいった。これで彼女の心が落ち着けばいいが。


 で、最後まで残っていた私に、騎士団員3人が声をかけてくる。

「ちょっとキミ! キミだって女性なんだから、あまり危険な所に首を突っ込むのはやめるように」

「あ、はい」

 誤魔化すように返事をした時だった。私の顔を見た騎士団員のひとりが、驚いた表情で固まっていた。


「リリカ……アーウェント……。『墜ちた剣聖』……」

 やばいと思ったがもう遅かった。

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