第222話 割り込んで止める
そこは冒険者向けの酒場で、まだ日が高い時であっても冒険者たちが昼食やお酒を飲み食いする所だった。そんな所なのだから、多少の揉め事は発生する。しかし今日に限っては、それを収める用心棒的な人間はいないようだ。さて、どうするか。
「よーねぇちゃん、こっち来て一緒に飲もうぜー」
「や、やめて下さい!」
こんなお店には似つかわしくない、ちょっと清楚系な店員さんだ。やめてという声も、なんだか弱々しい。
とりあえずからんでいるガラの悪い連中たちに、私は声をかける。
「あー、ちょっとキミたち、飲むのならおとなしく飲もうか」
騎士団時代の名残のような声かけだ。我ながら笑ってしまう。
「あぁん? テメぇなんかに用は無ぇんだよ! すっこんでろ」
ドンと、私の肩をその冒険者が突き飛ばすが、私の体幹の方が丈夫だったらしく、私は動く事もない。逆に突き飛ばした相手側の方が、よろけて尻餅をつく。
「て、テメぇ何しやがる!」
「何もしてないわよ。突き飛ばした方が倒れるなんて、貧弱ねぇ」
ついつい煽ってしまった。ちょっと大人げないかも。
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