第237話 闖入者
そんなやり取りをしていると、召使いを連れた小太りのおばさんのような人が、ゼスに近寄って行った。太った腹をコルセットで締め付けているので、贅肉が溢れていそうな感じだった。
「あーら。血生臭いと思ったら、下賤な吸血鬼がこんな所に。あらあらやだわ、美しい宮殿が台無し」
開口一発、とんでもないイヤミをぶちかます。「は? なんだコイツ?」と私は思っているが、ゼスは眉根をひそめただけで相手にしようとはしない。
無視を決め込まれた相手のおばさんだが、そんな事は気にせずさらにイヤミを連発してくる。
「魔王さまのお気に入りだかなんだか知らないけど、こんな所にまで顔を出されると、アタシが困るのよね。低俗な吸血鬼風情が、大きな顔をして」
嫌悪感を隠そうともせず悪態をつくその姿は、イヤミを通り越してむしろ滑稽だ。
そんな言葉に耳を貸さず、ゼスは無視を決め込む。それが癪に障ったのか、さらにそのおばさんは詰め寄ってくる。
「ちょっと! 無視してんじゃないわよ!」
右手を差しだし、ゼスが持っているグラスを取り上げようとしていた。そして、
ボッ
「……え?……」
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