第235話 文明の差
「ん? ああ、これか。この扉はな、こうするんじゃ」
と、扉の真ん中に手のひらを押し付けると、そこを中心に光の線が走り、扉は一旦奥に押し込まれてから右にズレて行った。
「ほえー。自動で開くのかー」
「感心してる場合ではない。中に入るぞよ」
私が驚いている所を指摘して、指で私を誘って中に入る。
ゼスの後を追うようにして中に入ると、整然とした庭園に出てくる。植木は四角く刈られてキッチリとしており、庭園中央には噴水まである。どういう仕組か、出ては止まり止まっては出てを繰り返している。
これだけでも圧倒されてしまう。以前の王宮の庭とは雲泥の差だ。
「こんなにも文明が発達してるなら、人間世界なんか無視できるわね」
私が感心していると、ゼスはそれにちょっと不満げに答える。
「ただ単に見せつけたいだけじゃよ。こんな庭や城を作ったとて、外交以外に使い道は無いからのぅ」
そんなものだろうか? 十分にすごいと思うが。
ともかくゼスの後ろを付いて行き、大きな扉から中に入る。城の中は、天井から下がる豪華なシャンデリアが煌びやかな光を散らし、辺りを鮮やかに照らしていた。
このシャンデリアひとつ取っても、どれほどの手間と技術が詰め込まれているか、想像がつかない。
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