第215話 百合キスその1

 さて、寝る事ができないとなると、夜の間はやる事が無くなる訳で。持て余したヒマというものは、なんとなく私の心を落ち着かせないものであった。

「やる事無いなんてヒマだなぁ。いっそ、木剣でも振るかな?」

 そんな独り言をつぶやいている時だった。


「なら、良きヒマつぶしがあるぞよ」

 この一言が、後のぶっ飛んだ行為になるとは、思ってもみなかった。ここで興味を示さなければ……。

「な、何をするのかな?」

「まあ隣に座ってくれりゃ」

 ゼスはベッドの縁に座り、ぽんぽんと隣の所を手のひらで叩いた。そこに座れと言うのだ。


 指示の通りにそこに座ると、ゼスは私の左手に自身の右手をからめて繋げてきた。いわゆる『恋人繋ぎ』というヤツだ。

 ここで「マズい」と思ったがもう遅い。ゼスは私の肩にしなだれかかり、私の首筋に唇をつけた。


ちゅっ ちゅっ


 私の首筋をゼスの唇がはう。

 滑らかに、なまめかしく。

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