第155話 修練の始まり

 そんな訳で騎士団の修練場に出勤だ。いつもの通りに修練に励む。

「リリカはいつも通り、頭の上にコップじゃ」

 もう慣れたものである。自分でコップに水を注ぎ、頭の上に乗せて構えを取る。そのまますり足で、ゆっくりと修練場を一周する。以前とは違って、頭の上のコップが揺れる事も無い。


 他の団員たちは、それぞれ修練のメニューをゼスが提示しているので、それを着実にこなしている。彼らも目に見えて上達しているのがわかる。


「ほぅれ、そこの者。フットワークがなっておらんぞ。もっと前後の出入りを細かくするのじゃ」

「はい!」

 なんだかんだで、ゼスの指導に従っている。傍目からみたら、怨敵吸血鬼に指示される騎士という図式なのだから、なんとも複雑である。


 さて、私も頑張らねば。彼らに追い抜かされてしまう。気合いを入れ直し、すり足移動をしっかり行った。

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