第247話 さて帰り際

 さて帰るという時になって、やはり徒歩で魔王さまの城から出て、外に向かう訳だが。

「やっぱり一旦外には出なくちゃダメなんだ」

「そうじゃ。城は結界におおわれていて、外から入るのも中から出るのも、徒歩でなければダメなのじゃ。まあ、最低限の警備と思ってくれりゃ」

 仕方ないだろう。魔王さまクラスになれば、寝首をかこうという輩が出てきてもおかしくはないから。


「で、帰りはリリカがやってみせよ。新たな力を手に入れた腕試しじゃ。そこの影と廃城の影を繋げてみせよ」

 おおっと、そう来たか。

 今までだったら、大陸を渡るほどの力は無かったが、今度はそれができるようなのだ。試しにやる事に。

 影に視線を集中し、その先に今から行く廃城の風景を想像する。

「想像が確実なものになれば、今のリリカならたやすいじゃろうて」

 カチリと、影と想像が合わさる感覚がした。行けるという確信が、私の中に湧き上がる。

 ゼスに向かってうなずくと、ふたりで手を繋いで影に飛び込んだ。

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