第49話 注目点が違うふたり

 しかし、相変わらずの貧相な薄い寝具。もう慣れたけど、改めて新しいのを買おうか迷う所。

 そんな私とは離れて、ゼスはキッチンの方を物色し始めた。

「うむ。鍋、釜、オタマ、トング。とりあえず一揃い揃っているようじゃの。後で食材の買い出しもせんとのぅ」

 ……ん? なんだか、ずいぶんと所帯じみてない?

「ゼス? 料理とかできるの?」

 私の質問に、ぺた胸を大きく張ってドヤるゼス。

「もちろんじゃて。人の食べるものくらい、ワシが調理できるわい。後で弁当も持たせてやろう。愛妻弁当じゃぞ。ふふふ」


 いや、ますます所帯じみてきた。え? 愛妻弁当を持って騎士団の練習に出勤するの? なんだか想像がつかなかった。

 そんな不可思議な顔をしてる私とは正反対に、ゼスの表情は活き活きとしていた。本当に楽しそうである。


「じゃ、食材の買い出しに行きましょ。当座の生活費は支給されてるから、ちょっとの贅沢はできるわ」

「うむ、よきかな。イモと肉は欲しいのぅ。どちらも明日への活力じゃて」

 なんか、食に関しては任せて大丈夫そう。えーと、お世話になります。

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