第128話 燻製肉

 そんな訳で市場で肉を物色している訳なのだが、やはり塩漬け肉くらいしか置いてはいない。牛・豚・鳥とあるが、どれも保存のために塩漬けされたものだ。

「やっぱり生肉は無いわね。生産地まで行くしかないのかな」

 私が疑問を口にすると、ゼスは心底イヤそうな言葉を口から出す。

「ワシはリリカと一緒にいたいんじゃぁぁぁ。ひとりで買いに行くなどイヤじゃぁぁぁ」

 本当にイヤそうである。


 そんな風に肉屋を周っていると、表面が飴色になった肉が吊るされた肉屋が目に入った。

「ほお。燻製か。これはまた良きじゃのぅ」

 燻製肉なら、また別な食べ方もある。今日の所はこれが妥協点かも。

「ゼスどうする? あなたが良ければ、今日の買い物はこれにしようと思うの」

 その言葉にゼスが食い付いた。

「ぬぬっ! 燻製肉か! それはまた美味。よし買おう」


 こうして、今夜の晩ご飯は決まった。

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