第129話 今夜の晩ご飯

 今夜の晩ご飯は、燻製肉を小さめの角切りにして炒めて脂を出させ、一緒に角切りのパンを炒めてその美味しい脂をパンに吸わせ、一緒に食べるという食事に。

 燻製肉の煙い香りに程よく旨味が乗った脂。これが何とも言えず美味しくて、追加で作ったマッシュポテトもおかわりしてしまうほど。

 もちろん、作ったのはゼスだ。この吸血鬼、確実に私の胃袋を掴みにかかってきている。


「うむ。良き食いっぷり。あっぱれじゃ!」

 いや、そんな風な褒め方をされても、あまり嬉しくはない。

 しかし“月のもの”はようやく収まって、食欲も出てきた。ここぞとばかりに食べる私である。


 かたやゼスは、マッシュポテトに燻製肉を乗せ、それを葉物野菜で包んで食べている。なんとも優雅な食べ方をしている。こういう所で、育ちの差が出てくるのは否めない。

「むふふ。我ながら良き食事よの。食卓を囲んで食べるは、至極喜ばしい事よ」

 おそらく、これでワインとかがあれば、また様になっていただろう。しかしここはジュースで我慢してもらおう。

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