第175話 一瞬の攻防
今度は、私を中心にしてゼスがグルッと時計回りに一周して、様子をうかがっている。それはそうだ。互いに必殺の一撃を持っているのだから、警戒をして当たり前なのだ。
しかしその均衡をゼスが破る。
一歩踏み込んだ所で身体をクルッと一回転させ、勢いに乗った左突きを私の腹に放つ。
しかしその動きは見えている。ほんのわずかに下がって間合いを調整し、私は突き出される左手の前腕を浅く切りつける。
その切りつけを、左手を引く事でかわして、左手の引きつけを利用してさらに回転し、左の後ろ回し蹴りが私の側頭部に向かう。
私はその蹴りをのけぞってかわす。わずかに兜が爪先に当たり、兜が弾き飛ばされる。顎紐をしていたら、頭が持って行かれる所だった。
そんな一瞬の交錯の後、また間合いの取り合いをする。
ゼスは喉と左手に浅い傷を負い、私は腹と兜に浅くもらっている。お互いに緊迫したやり取りをする。その結果のダメージだ。
お互いにジリ貧だ。長引けば長引くほど、傷を負って体力を消耗する。ここは“賭け”に出るか?
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