第195話 色々と想定する

ゴソゴソ モゾモゾ


 土を掘り返すような音は、相変わらず地面の下からしていた。何かはわからないが、何かが地面の下でうごめいているのは、なんとなくわかる。

「これ……、今からでも剣を取ってきた方がいいかな……?」

 あまりの状況の変化に、涙は止まり思考はクリアになっている。ちょっと冷静になれたので、色々と考えてみる。


 ゼスが復活?

 いや、聖剣で首を斬ったのだから、復活するのはあまり考えにくい。そもそもちゃんと死亡確認をしたのが私なのだから、あり得ないと言えばあり得ない。


 別の魔物の仕業?

 それはあり得る。ただでさえ魔力の詰まったゼスの遺体、それを利用しようとする何かがいても、おかしくはない。遺体を取り込んで、別の魔物が進化する。なくはない話だ。


 とすると、やはりただの剣では物足りない。聖剣を引っ張り出して警戒すべき所だが、その聖剣はすでに教会に戻してある。

「どうしてこう、肝心な時に……!」


 ボヤいていても仕方ない。一度西棟に戻り、剣を持ってくるかと悩んだ次の瞬間だった。


「ボコッ」

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