第203話 それでも問う
「それでもあえてリリカに問おう。
お願いします。
儂と付き合って下され
もう独りはイヤなのじゃ」
穏やかに、でもしっかりと、私の目を見つめて問いかける。手を差し出すゼス。
私は呆れてものも言えず、ただ笑うしかなかった。
そしてひとしきり笑った所で、その問いに答えた。
「もう。こんな身体にしたんだから、責任は取ってよね?」
私は、差し出されたゼスの手を取った。晴れて私は、吸血鬼に成り下がったのだ。
――――――
「そう言えば、「よく頑張った。よく耐えた」って言っていたけど、あれってゼスの首をはねたストレスに耐えたって意味なの?」
私の疑問に、さらにかぶせるように答えを出してくる。
「それだけではない。本来吸血鬼の血など、『毒』そのものじゃ。少量ならば害は無いが、大量となると、それに耐える体力・精神力が必要になってくる。それらを身に着けられたのは、ひとえにリリカの頑張りがあったからじゃ」
だからこその、あの騎士団での修練だったのだ。体力錬成に瞑想、それらはすべて、ゼスの血に耐えるためのものだったとは。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます