第204話 用意周到とはこの事
「本当に……。どこまで用意周到でしたたかなの?」
私はそこまでしか言えなかった。
「ぶほほほ。褒めてたもれ。賭けには勝ったんじゃから、胸を張って帰れるわいの」
私は頭を抱えた。
空いた口がふさがらないとはこの事だ。
本当にこの吸血鬼はもう。
べしっ
軽く肩を平手で叩いた。
「じゃから痛いのじゃ! 吸血鬼であっても痛いものは痛いんじゃ!」
――――――
「さて、ワシらがここにいるのはマズいからのぅ。帰るのは、やはりあの『廃城』じゃな。リリカも来るじゃろ?」
確かにここにいつまでもいるのはマズい。そして行く場所と言えば、以前に戦った『廃城』しかないだろう。
「あ。その前に、ちょっと『西棟』に寄ってもいいかな? 最後のケジメだけはつけないと」
私の言に、うなずくゼス。
「その程度など、問題にもならぬ。リリカの好きなようにせよ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます