第204話 用意周到とはこの事

「本当に……。どこまで用意周到でしたたかなの?」

 私はそこまでしか言えなかった。

「ぶほほほ。褒めてたもれ。賭けには勝ったんじゃから、胸を張って帰れるわいの」

 私は頭を抱えた。

 空いた口がふさがらないとはこの事だ。

 本当にこの吸血鬼はもう。


べしっ

 軽く肩を平手で叩いた。

「じゃから痛いのじゃ! 吸血鬼であっても痛いものは痛いんじゃ!」


――――――



「さて、ワシらがここにいるのはマズいからのぅ。帰るのは、やはりあの『廃城』じゃな。リリカも来るじゃろ?」

 確かにここにいつまでもいるのはマズい。そして行く場所と言えば、以前に戦った『廃城』しかないだろう。


「あ。その前に、ちょっと『西棟』に寄ってもいいかな? 最後のケジメだけはつけないと」

 私の言に、うなずくゼス。

「その程度など、問題にもならぬ。リリカの好きなようにせよ」

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