第205話 新たな一歩

 次の日の朝、騎士団長の机の上には、リリカからの手紙が置かれていた。そこにはこう書いてあった。

「私、リリカ・アーウェントは、一身上の都合により、騎士団を退職致します。なお、アーウェント姓は返還し、退職金なども固辞します」

 最後の〆をして、これで人としての生活も終わりだ。これからは、吸血鬼としての生活が待っている。楽しみでもあり不安でもある。


 ただ、今は隣にゼスがいる。それだけで、何より心強い。どこへだって行ける気がする。


「さて、行こうかの?」

「ええ。共に行きましょう」

 私たちふたりは、手を取り合って新しい生活に向かう。前途多難かも知れないが、ふたりで行けば何でもできる気がしていた。


「なんじゃなんじゃ? ずいぶんと浮かれた顔をしとるのぅ」

「こんな顔をさせてるのはゼスじゃない」

 ふたりでひとつ。最強コンビの誕生だ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る