第242話 肝が冷えたぞな

「リリカ。肝が冷えたぞな。今宵は魔王さまの機嫌が良かったから良いものを」

「そこは感謝してる。ありがとうゼス」

 宴が終わって会場から出て、廊下でゼスと話をする。

 さすがに気配を探るなんて、失礼だったか。ただ、相手は魔王さま。どれほどの力量があるのか、計ってみたくなるのは剣士としてのサガか。


 まあ、結果としては御の字。私の顔くらいは覚えてもらえただろう。それだけでも収穫だと言うもの。


 そんな時だった。私たちの所に、あの魔王さまの前に立っていたワニ顔の兵士が、歩いてきたのだ。何かあるかとふたりして警戒していると、その兵士は私たちに話しかけてきた。

「おふたりともこちらでしたか。魔王さま直々に面会をしたいとの事で、別室においで頂きたい。お時間、大丈夫か?」

 あ。これ拒否権は無いヤツだ。

 ふたりして顔を見合わせてから、同意のうなずきをして、兵士の誘導に従った。

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