第243話 力を与える
ワニ顔の兵士に先導されて入った部屋は、ずいぶんとこぢんまりとした部屋だった。いわゆる応接室みたいな所か。本来ならソファが部屋の真ん中に置いてあるのだが、今回それらは端に寄せてあった。
そして奥には、薄いカーテンで隠された玉座があった。そこに魔王さまが座るのだろう。その前に私たちは立って待っていた。
「では、魔王さまのお目見えである」
玉座と私たちの間にワニ顔の兵士が立ち、魔王さまが来る事を宣言する。私たちは膝をついて、お出迎えする。
やはり気配無く、魔王さまが入り、玉座に座る。そして言葉を発する。
「今宵は良き余興であった。褒めてつかわす」
「大変失礼を致しました」
平服しながら、ゼスが返答をする。やはりかなり緊張をしているようだ。
「なかなか良き余興を見せてもらった礼だ。ゼスよ、ぬしに力を与えよう。それを使って、そこの新参者に“真名”を与えよ。いつまでも名無しでは、不便であろうからの」
「はっ! 有り難きお言葉!」
その返事と同時に、ゼスの身体が光に包まれる。一瞬でその光は消えたが、何かが起こった事は間違いない。
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