第244話 名無しの不都合
「では、要件は以上だ。今後のお前たちの動き、期待しておる」
「はっ!」
そうして魔王さまは玉座から立ち上がり、その場を後にした。本当に最初から最後まで、気配が無かったな。
そんなやり取りがあってワニ顔の兵士からは、「お疲れ様でした」と言われ、部屋から出てきた訳だ。
とりあえず状況を整理すると、私は魔王さまの気配を探って失礼をしてしまったが、おめこぼしがあって許しを得た。そしてなぜか気に入られ、真名? とか言うものを私につけてもらう算段をつけた。という所か。
「ふーむ……、リリカの真名とな……。確かに現状“名無し”ではあるから、不都合ではある」
ゼスが考えてくれているが、何が不都合なのかはピンと来ていない。
「名前が無いと不都合なの?」
私が尋ねると、ゼスは神妙な顔で私に語ってくれた。
「自分の預かり知らぬ所で勝手に名前をつけられ、操られる可能性があるという事じゃ。それほどまでに、名前というものは重要なのじゃよ」
なるほど。それは確かに不都合だ。
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