第249話 わしっ!

 そんな訳で湯浴みの用意だ。

 私はまだ魔法を使える訳ではないので、かまどに火を起こして釜を置き、お湯を沸かして湯浴み場に持って行くのだ。もちろん重労働とはいえ、普段からやっている事。慣れた調子で湯浴みの準備は完了だ。

 そして準備ができたのでゼスを呼びに行くと、すでにドレスを脱いで真っ裸だ。少しは恥じらいというものを持ってほしいが、ここには彼女と私しかいない。恥じらいを持てと言う方が無理がある。

「ゼス、用意ができたわよ」

「おおそうか。重畳重畳」

 真っ裸で湯浴み場に向かうゼス。まあ仕方ないかと、そのまま付いて行く。


 湯浴み場について、私も装備を外して服を脱ぐ。そんな動作を、ゼスは目の端に止めて一言。

「やっぱりたわわじゃのぅ……」

「ん? 何か言った?」

 私の問い返しに、ちょっとむくれた表情で迫るゼス。

「リリカの! この胸が! たわわなのじゃ! ワシもこのくらいほしいのじゃ!」

 わしっ、と私の胸を鷲掴みし、むにむにと揉んでくる。いやそんな事を言われても。

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