第10話 練習開始

 気がはやり、私は朝早くから寮を出て、騎士団の修練場に足を運んだ。木剣の木の香り・ここで練習をしているであろう団員の汗の匂い・おそらく誤って当たってしまったのだろう柱の傷。それらすべてが私をワクワクさせた。


 どんな人たちが、どんな練習をしているのか、とても楽しみであった。

 私は待ちきれず、木剣を手にして型稽古を始めた。

 まだ誰も来ていない修練場の中で、私の振る木剣の風切り音だけが、虚空に響いていた。


 それからしばらくして、他の団員たちもやってきた。私は一旦練習を止め、彼ら先輩たちに向かって一礼した。


「おはようございます! よろしくお願い致します!」


 そんな姿を目の前にして、ちょっとたじろいたその団員たち。

「お、おう。元気がある新人だな。よろしく」

 そう言って、ガッチリと握手をした。そこからが本格的な練習の始まりだった。

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