第153話 良い一日の始まり

 そんな眠りについて、ゆっくり身体を休めた。そして朝日が出ようとしていた時、

もぞり

と、私の腕の中でゼスが動いた。それに気付いて、私も起きてしまった。

「ん、ん……」

「お、起こしてしもうたか」

 こんな朝早くから動き出すなんて、ゼスは早起きなんだな。

「そろそろ朝市が始まる時でな。すまんが、起きて向かうわぃ」

 本当に甲斐甲斐しい奥様だ。私が男なら、即座に結婚を申し込んでいただろう。


 ゼスは起床して簡単に身支度を整えると、朝市に出かけた。私も起きて、とりあえずボサボサの髪を整えようとする。

 ゼスに言われた通り、クシに油を少し塗り、それで髪をとかす。スルスルと髪が真っ直ぐになり、改めてゼスは良い買い物をくれたものだと感心する。


 後は顔を洗って油を薄く塗り、着替えて身支度をしっかり整える。良い一日の始まりだ。

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