第180話 見届け役
「ぐっ! つっ……つぅ。なかなかキツいのぅ」
この動きは、ゼスと共に図書館で型の分解をして、動きがわかった所のものだ。ここで生きてくるとはまた皮肉なものだ。
足を痛打されたゼスは、一旦離れるものの、持ち前の回復力ですぐに構える。しかしふくらはぎの所には大きな青アザができており、しかも治る気配は無い。やはり聖剣の効果か。
私は油断無く正眼に構えを取って、大きく息を吸って口から吐く。緊張の連続で、疲労感も緊張感も感じている。それらをほぐすためにも、呼吸は大事なのだ。
呼吸を通じて意識を平静に保つ。ゼスの瞑想の教えが、ここでも生きてきている。まだまだ行ける。私の身体はそう正直に応えてくれる。
少しずつにじり寄る私と、前後左右に移動しながら警戒するゼス。ふたりの攻防はまだ続く。
傍らには、その戦闘を監視している人間がふたりいる。
この戦闘に随伴した、監視役の騎士団員だ。彼らは目の前で繰り広げられる戦闘に、目は追いつくものの理解が追いついていない。なぜそんな高度な攻防が行えるのか、理解できていないのだ。
「これを全部、騎士団長に報告って、かなり無理じゃねぇか?」
「ああ。しかし見逃す訳には行かないぞ。恩人と仲間の一騎打ちだからな」
そう言い合って、さらに続く戦闘に目を向ける。
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