第220話 服屋さんへ

 そんな訳で廃城から出て、向かうは街道沿いの小さめの街。元々は吸血鬼ゼスを討伐する冒険者が、一度休んで態勢を整える場所として使われた広場が、その冒険者目当ての商売をする商人が集まりだしていちができ、それが発展して街になった、という所。

 そんな所に買い物に来たのは、あまりに廃城の内装がボロボロだったからだ。カーテンは破れ、ベッドマットはカビ臭い。ゼスは気にしていない様子だが、私はやはり気持ちよくはない。最低限寝間着くらいはちゃんとしたものがほしいので、買いに来た訳だ。


 街道沿いという立地もあってか、結構な人の往来がある。活気のある街というのは良いものだ。……っと、ボーッとしててはいけない。用事を済ませたら早く帰らないと。一応これでも私は吸血鬼なのだから。見つかったらタダでは済まない。


「お。いらっしゃい」

「すいません、寝間着を買いに来たのですが」

「女もんなら、あっちの売り場だよ」

「ありがとうございます」

 適当に入った服屋さんだが、やり取りは普通。品揃えはまあまあ。それなりなお店である。

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