第132話 夜更けの目覚め

 夜更け過ぎに、唐突に目が覚める。

 私の胸の中では、ゼスが抱かれて眠っている。

 ゆっくりと浅く呼吸をして、大人しく眠っている。

 こうしていると、本当にこの存在が“最凶”の吸血鬼なのか、ものすごく疑問に思えてくる。

 ゼスの細い首が目に入る。私の握力でも、握って折ってしまいそうなくらい細い。

 いや、そんな事をして何になる。我ながらバカな事を考える。

 ともかく、朝になるまでまだまだ時間はある。もう一度私は目を閉じ、浅い眠りについた。




 朝。

 夜明けと共に目が覚める。

 まだ私に抱かれて、ゼスは気持ち良さそうに眠っている。しかし起きない事には変わりない。その柔らかな感触が名残惜しいが、抱く力を強くしてギュッとする。

「……リリカよ。それはワシを起こそうと?」

 やはり目が覚めたようだ。

「当たり前でしょ? さ、起きて朝ご飯にしましょ」

 今日も良い1日が始まる

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