第167話 気付き
私は泣いた。
嗚咽した。
慟哭した。
我が身の不遇を呪った。剣術の基礎たるものを教えてもらい、温かい食事を共にした、そんな相手を斬るその不遇を。
ゼスのベッドの上で泣き、顔面をぐしゃぐしゃにし、そして少しの眠りに付いた。
その浅い眠りの中で、私はゼスの背中に会っていた。ゼスは言っていた。
「待っていようぞ」
と。
待っている? ゼスが? どこで? 何を?
そうしばらく悶々と考えていたが、窓から入る朝日が目に入り、少し身体を起こした。
その時、唐突にわかった。
待っているのは私をだ。それも、剣術の頂点とも言える『剣聖の領域』にたどり着いた私を。
そこから私の中のスイッチが切り替わった。
早速起床して身支度を整え、まずは腹ごしらえだ。まだイモも果物も残っている。それらを調理して食べた。
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