第182話 会心の一撃

 支えになっている足の方は、先程の交錯で柄尻の痛打を与えた足だ。そのため、わずかばかりだが蹴り足の速度が鈍くなっていた。


 ――――そこだ!


 蹴り足の方を、剣の鍔元で受ける。鍔元とは言ってもちゃんと刃がある部分。もちろん素足が当たれば、切れる。

 ゼスのふくらはぎに、ザックリと刃が食い込む。かなりの深手だ。


「ぐぅっ!」

 すぐに足を引き戻し、構えを取ろうとするゼス。しかし、片足は痛打を食らって青アザになり、もう片足は大きな切り傷を負っている。

 構えようにも構えられず、ヨタヨタとたたらを踏んでしまい、構えられなくなってしまった。

 傷は再生されないので、先程までできていたフットワークもできず、棒立ちの状態だ。私が追撃の一歩を踏み出そうとすると、大きく下がる。


「ふ、ふふふ。楽しいのぅ。こちらは、まだ拳が残っておる。おぬしはどうする?」

 まだ勝負は決まらない。

 そう、命を奪うまで続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る