第122話 とりあえず復調

「ただいま戻ったぞな」

 小声がしてドアが開く。ゼスが戻ってきたようだった。そちらに目をやると、食材が入っている紙袋を抱えて、手には小さな紙袋を持っていた。

「お。起こしてしもうたかな。とりあえず薬を買ってきたでな。それを飲め。起きれるか?」

 私は小さくかぶりを振った。

 そうするとゼスは、私を抱き上げるようにしてベッドの上で起こし、口に薬を入れてコップで水を流し込んだ。小さな丸薬だが、薬草系の草っぽい味がした。

 飲み下すと、ゼスはまたベッドに私を横たえ、当てていた脱脂綿を取り替えてくれた。

「腹が減ったら呼べ。軽いもので作ってやるでの」

 本当におんぶにだっこである。



――――――――



 そうしてしばらく経った所で、だいぶ痛みは治まってきた。起き上がると喉の渇きを覚え、近くに置いてくれた瓶からコップに水を注いで飲んだ。

 うん。本調子ではないにしろ、動けるようにはなってきた。

 とりあえず汚れた寝巻きとシーツを片付けようとすると、ゼスが気づいて割って入ってきた。

「こちらはワシがやるでの。疲れもあろうから、ゆっくり休め。な。」

 本当に甲斐甲斐しい奥様である。

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