第218話 欲をむさぼる

 その後、お互いに一糸まとわぬ姿となり、股を合わせて腰を振る。この行為が『貝合わせ』というものであると知るのは、もっと後になってからの事であった。






「り、リリカよ……。良かっ……た……ぞよ……」

 ぜいぜいと息を切らして、私に語りかけるゼス。しかしその言葉に返答できないくらい、私も息が上がっていた。お互いに息を切らしてベッドに横たわる姿は、艶めかしいとかそういう次元ではなく、欲をむさぼり食った後の乱れた姿だった。


 しばらく息を整えるために時間を要したが、先にゼスが復活できたようだ。

「しかしあれじゃのぅ。リリカにこんな一面があるとは思わなんだ。いやぁ、良き時間であったぞ」


 そんな事を言われたものだから、私は顔が赤くなる事がわかり、両手で顔をおおった。もう恥ずかしいやらなんやら。言葉も出ない。


 ともかくその場は終了。湯浴みをして休む事に。我ながらどうかしてると思わざるを得ない。それでも、この欲の魔力からは逃れられそうにないと感じていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る