第35話

ジローの部屋のある2階へみるくが上がっていったのを見送ると、ナンちゃんと親父の二人は牛の世話に戻った。



「親父さん、あの女の子の言うこと本当に信じるの?」



「信じるさ。あの女の子はみるくなんだろう。

そうでなくとも関係ないがな。可愛い女の子が一緒に住んでくれるなんて願ってもないことだよ」



「え?まさか、一緒に住むつもりなんですか」



「うん。そうだけど、何か?」



「だって、あんな得体の知れない子、家がどうなるかわかりませんよ!」


「大丈夫だよ。あの子が自分をみるくだって言うんだ。

家が自分の住処なのに追い出してしまったら何処に行くんだ?

それに、家は今まで色んな人を住み込みで雇ってきたんだ。誰が一緒に暮らしたって何も変わらんよ。もし、万が一何か企んでいたとしてもそのうちボロが出るさ」




「まぁ、勘で悪い子じゃないとは思いましたけどね・・・」




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