第82話

「家、遠いの?」



「えっと、家…帰れないんだ。」



「帰れないって何で?」


「お金稼いで、払わなきゃならないんだもん。」


「何でよ?自分の家なんだからお金稼がなきゃならなくたって帰ってもいいでしょ?」



みるくは首を横に振った。



「あんた真面目だね。」



すると、突然ナツキのジーンズのポケットでケータイが鳴った。

ナツキはみるくに背を向けて電話をとった。


「もしもし、何か用?タケル。うち、今忙しいんだけど。

…はぁ?女?知るかよそんなもん。あんたの取り巻きなんかイチイチ覚えてる訳ないじゃん。

…何、あんたの女じゃなくて?尚更知るか!

もう、ウザい。うちは関係ないから。切るよ。」



ナツキはため息を吐きながら電話を切った。



「何だ?タケルのやつ。」



「どうしたの?」



みるくが顔を覗き込んだ。

ナツキはペットボトルのお茶を飲んだ。


「…うん。ちょっとね。何か、知り合いが女捜してるんだって。うちがそんなの知るかってかんじ。」

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