第164話

「今日は少し曇り空だね。晴れてた方がこの庭はもっと綺麗に見えるのに。残念だ。」




アイジは漆黒の瞳で天を仰いだ。




やがて、アイジの執事がお茶を持って現れ、テーブルに二つのティーカップを置いた。

そこに注がれたのは、アールグレイ。

この庭に似合ってる。

みるくはひそかにそう思った。




「ねぇ、君はこの状況を不自然だと思わないの?」



アイジが、美味しそうに紅茶を飲むみるくに聞いた。

「不自然…って?」



「君を、僕は誘拐して来たんだよ。泣き叫ぶだとか逃げようとするだとか、しないの?」



「大丈夫。ジローくんがみるくのこと見つけ出してくれるから。この間もそんなことがあって、その時も見つけ出してくれたんだよ。」




「ふぅん。」

アイジは急につまらなそうな顔をして、紅茶を一気に飲み干し、

「僕はずうっと独りだったのにさ。」

と、愚痴をもらした。




「独り…」

みるくはアイジの言葉を繰り返した。

「独りなんだ、僕は。」アイジは自嘲した。

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