第50話

「何なの!?他の業って。」


「さぁ、契約されたのはみるくさん自身ですから、私は知りません。」



「みるく、あんた何と引き換えに人間になったのよ。」



そう聞かれたみるくは、とても言いにくそうだった。



「みるく…どうしても人間になりたかったんだ…」



みるくはそんなふうにつぶやくと、泣きそうに肩を震わせて、ジローに寄り添いジローの胸に顔を埋めた。



「どうした?」


ジローはみるくの頭を撫でた。



「みるくね。人間になる代わりに、千年の永い時間暗闇の何もない無の世界に閉じ込められるんだって…」





「無の世界?」





ジローはこの時はまだ知らなかった。

みるくが大変な重荷を背負っていることを。

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