第49話

みるくはうなずくと、申し訳なさそうな顔をした。



「ごめんなさい。お金っていう物がいることだって知らなかったの。」



そう言うみるくの肩をナンちゃんは優しく撫でた。

ジローは坊主に聞く。


「でも、納得いかないことがあるんだ。みるくは元牛なのに、どうして人間の言葉がすぐ話せるんだよ。」



「それは輪廻の瑞玉の中にある輪廻の門をくぐるとき、代価を払い、あなたと同じ年齢で普通の人間の女の子として生まれ変わるように契約されたんです。だから、最低限必要な言葉は話せるんですよ。それに、みるくさんは必要なら高校に行けるくらいの学力も持ち合わせています。」



「都合いいんだな。」



「ですが、代わりに元は牛だった名残りとして、牛乳が出てしまう体を持っています。」


ジローはハッとした。

「それでか。乳が腫れたのは。」




すると、ナンちゃんが口を挟んだ。


「じゃあ、その、代価とやらは、胸が腫れて牛乳が出ちゃうってことだけなの?」



「いいえ。みるくさんが人間になるということは、相当なこの世の摂理を曲げていますから、代わりに背負う業は、きっとそれだけじゃあないでしょう。」

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