第110話

二人きりになったジローとみるくだったが、


みるくはジローにしがみついたまま動こうとはしなかった。




「…ごめんね。」





そんな声がして、

ジローはみるくの瞳をみつめた。




みるくはジローを見上げて言い直した。

「ごめんね。ジローくん。」




「…何で?」




「迷惑かけてごめんね。」




「迷惑って…」





「みるくのせいでジローくんの一日が台なしになっちゃった。」






「え…まぁ、そりゃ、みるくは、俺の…うん…牛だし。そう、ほら、飼ってる牛なわけだし、捜すのは当たり前じゃん。」






「…うん。」

そんなぎこちない会話の中で、みるくは少し残念な顔をした。

人間になった今でも飼ってる牛っていうポジションなんだ…





「さ、帰るか家に。」



「え?でも、みるくは百万円を…」



「いいんだよ。あれから皆で話し合ったんだけど、みるくは家の家族だし、お金なら畜産を手伝って稼げばいいよ。」




「でも、家計が苦しいんでしょ?」




「だからってお前独り放り出すわけにいかねぇだろ。」

ジローはみるくを抱く腕にギュッと力を入れた。


「え!?」

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