第105話

時間はそんなみるくに構うことなく進んでいった。



日も暮れた頃、

タケルはみるくと友人達で、

山の中の廃墟になったラブホテルで先に寄ったコンビニで用意したビールの缶を開けた。



「今日は楽しかったなぁ。」



タケルはそう言って、車のライトで照らし出された友人達と乾杯をした。


結局、みるくはジローに会えないままだった。



実は、コンビニのあの時タケルがしたジローへの写メールは、みるくではなく別人の写真だったのだ。


タケルは、みるくを側に置いておくためにわざとそうした。



みるくはそんなことも知らずに、タケルについていればいつかジローに会えると信じて、目の前で展開する宴会をじっと無言でみつめていた。




「ホントに無表情だね。皆で楽しむ気ないのあんた。」


「さっきっからだんまりで、何聞いても話し弾まないし。」


「しょーがないでしょ。もともとそういうコなんじゃん。」



タケルの友人達は口々にみるくをそう言った。

「てかさ、タケルがこーいうコを連れてるのかなり珍しいよね。」


「そうか?」


「うん。」

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