第104話

みるくはそうしてタケルに言いくるめられ、

コンビニを背に、

道路へと出た。




それからのみるくの意識は奥に潜み、変化する状況をただ受け入れるのみだった。



感情を押し殺して。




 タケルはみるくと共に、迎えに来た自身の友人達の車に乗り込み海に山に遊び歩いた。



「ねぇ、ちょっと疲れてる?元気ないよ。」


タケルの友人の一人がみるくの顔を覗き込んだ。


みるくは無表情で、楽しそうに笑うタケルの服の端を掴んでいた。



「タケル…このコなんかさぁ…」



「ん?」



「もしかして辛い?」



と、みるくの顔の前で手を振った。


みるくはハッとして、取り繕うように口の端を上げ、笑顔を造った。


「ねぇタケル、このコが海に来たいって言ったのマジ?なーんかつまらなそうじゃん。」




知らない人間に沢山囲まれて、

喧騒の中で孤独を感じた。



誰も知らない。

そんな人間達の中で、何もできずに人形のようにしていた。



海は灰色だった。


波のように不安が押し寄せる。




ジローくんにはいつ会えるんだろう…

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