第103話

ジローが雌牛みるくに日課の餌をやり終えた後、この、目の前にいるタケルのバイクにニケツして出掛けていったのは、海や山を見に行っていたからだったのだ。


みるくはジローの見たその景色を知らない。






いつも、去っていくその背中をみつめていただけ。







「何なに?みるくちゃんオレのこと知りたいみたいじゃん。」



タケルの声がジローを想うみるくを呼び覚ました。みるくは寂しそうな表情で呟いた。



「いつか、海や山を、みるくも見ることができたらな。」




すると、タケルの瞳が輝く。


「じゃあさ、今から行く?」



「え!?」



と、みるくが驚いたのもつかの間。

タケルは携帯を取り出し、何者かと会話したのち、さっさとみるくの手を引いてコンビニを出たのだ。


「ジローくんは!?あそこにいないと会えないんじゃ…?」



「いいじゃんジローなんて。海でも見に行こ!」


「よくないよ!ジローくんに会いたい!」



「ふぅん。でもさ、オレと一緒じゃなきゃジローとは会えないよ。ジローと連絡できるのはオレだけだからね。」



「でも…」



「大丈夫。悪いようにはしないから。」

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