第84話

タケルは手持ちの扇子を広げて仰いだ。

すると、


「なーんだ。ジロくんの筆おろし役、狙ってたのにな。」



タケルの腕の中に囲っている派手な取り巻き女が言った。



「お前、そりゃ趣味悪いぜ。童貞なんて面倒臭いだけじゃん。」


タケルが笑う。


「そう?ジロくんカワイイよ。っていうかタケちゃぁん、クラブ行こうよぉ。コンビニなんてダサい。」


「ごめん。今、金欠で無理。」


「えー、コンビニ前なんて中坊じゃん。」



タケルは自分達が居座るコンビニの外観を眺めた。


ごみ箱から空き缶が溢れ出ている。

寂しく道路の並木の葉が揺らめいたりして。


「懐旧に浸れていいかんじ。」


タケルが苦しまぎれに言った。


コンビニ前の風景に似合わず派手なジャケットにミニスカの女は、

「あーん。もう帰る!」と、立ち上がり、タケルの肩をバッグでバンッと強く殴った。



「あ、待ってよ。ほら、中坊ん時ってよくコンビニでデートしたじゃん。ほら、素敵な青春の思い出が甦ってこない?オレは十三の時だったかなぁ、一つ上のヨーコちゃんと…」



「もう!他の女の話なんか聞きたくない!」


「あ…」

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