第113話

ナンちゃんは一方的に電話を切った。



「ナンちゃん、照れてるのかもよ。」


ジローが言った。



みるくの瞳には、ジローの背中に拡がる満天の星空が映っていた。


「綺麗…」



さっきまでの世界とは違う。ジローの居る世界はキラキラした無数の光りに照らされて幻想的な雰囲気に包まれていた。

みるくは、自分の心の中が安らかになっていくのを感じていた。



真っ暗な藪の木と木のざわめきも、怪しい廃墟も、ジローがいてくれるなら恐さも影を潜める。



さっきまで嵐のように荒廃していた心の中が、

凪のようにゆったりとした穏やかさになっている。




たった一人の存在の有無で、自分はこんなに変わってしまうものなのか。




みるくは、改めてジローの存在の大きさを確かめた。




「ねぇ、ジローくん聴いて。」

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