第55話
「ジローくん。牛に戻れたなら、また、みるくの面倒見てくれる?みるくと一緒に、二人でいてくれる?」
親父とナンちゃんが仕事場に戻り、ジローもみるくに背を向けて去って行き、
坊主の側に独り取り残されて、みるくはようやく涙が出てきた。
「涙…ジローくんが小さい頃、よく涙を流してたな。独りっ子で寂しいって言って泣いてた。」
独り言が虚しく響く。
坊主は鞄からハンカチを取り出し、無表情でみるくに差し出した。
「泣かないで下さい。泣きすぎて目を腫らされたら困りますよ。今から行く所は顔がくずれてたら雇ってくれない所なんですから。」
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