第44話

「生臭坊主!どこから湧いて出たのよ。」



「っていうか、飲んでんじゃねぇよ!」


口々に驚きの声をあげる二人だったが、



「まぁまぁ、お二人さん。そう熱くならずに。今日は約束の料金をもらいに来たのですよ。」



「料金?昨日言ってた百万だったら払わないわよ。そんな訳のわからない金、出せるわけないじゃない。」



「それは困りますねぇ。そこにいらっしゃるみるくさんが確かに私の売り物を買っているんですから、金を払っていただかないと。」



「だから、それがどういうことか解らないっていうのよ!ねぇ、ジロー。」



と、ナンちゃんがジローの方を見ると、ジローはうつむきかげんで、みるくから搾り採った牛乳の入っていた瓶の底を見ていた。



「何で全部飲みほしたんだよ!何にも残ってねぇじゃん!」


ジローは悔しそうに怒鳴った。



ナンちゃんは面喰らって、


「あんた、まさかホントに飲みたかったの?」


そんなナンちゃんに、ジローは慌てて、

「そ、そうじゃないけど、この坊主ヒドイじゃんか。」

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