第23話

「あの、ちょっと、座ってよ」



ジローがどもりながら指差す。

女の子はイスに座った。

ジローは女の子の背中側に座り、風呂窯にお湯を溜めながら女の子の体をボディソープで洗った。



「変な感じ。なんかくすぐったいや」


まるで、体を洗う事が初めてみたいな口ぶりの女の子に、ジローは聞いた。



「体洗ったことないの?シャワーだって知らないみたいだったし」



「うん。人間になったばかりだから、これが初めて」



「マジで?」



「何で?みるくだってさっきからずっと言ってるのに、信じてくれないの?」




「信じらんねぇよ。牛のみるくなら、何で最初から人の言葉が話せるんだよ」




女の子がうつむいた。

そして、手で目をこすった。



泣いているのか?

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