第2話
みるくは、ジローを追うように牧場を公道沿いに柵がある所まで走った。
ジローは振り向きもせずに羽織ったジャンパーを風に揺らして去っていった。
広い牧場、何もない草原に公道が一本通っているだけの寂しい景色の中、みるくはジローが帰るまで牛小屋に戻ることもなく草原で孤独に待つのだ。
風のざわめきの中で。
すると、殺風景な公道を一人、みるくに向かって歩いてくる者がいる。
托鉢の僧侶の恰好をしている。
草を食べているみるくの前で、そいつは立ち止まった。
「こんにちは、みるくさん。今日も愛しいジローくんを一途に待ち続けているんですね」
牛に話し掛ける不審な坊主が一人。
みるくは、いかにも悟ってますと言うような細い目をしたそいつに、素っ気なくケツを向けた。
坊主は一瞬顔をしかめたが、
「いつもつれない人ですね。私はあなたを救おうと、あなたの願いを叶えて差し上げようと思って来たのに」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます