第2話

みるくは、ジローを追うように牧場を公道沿いに柵がある所まで走った。

ジローは振り向きもせずに羽織ったジャンパーを風に揺らして去っていった。




広い牧場、何もない草原に公道が一本通っているだけの寂しい景色の中、みるくはジローが帰るまで牛小屋に戻ることもなく草原で孤独に待つのだ。




風のざわめきの中で。





すると、殺風景な公道を一人、みるくに向かって歩いてくる者がいる。


托鉢の僧侶の恰好をしている。

草を食べているみるくの前で、そいつは立ち止まった。


「こんにちは、みるくさん。今日も愛しいジローくんを一途に待ち続けているんですね」


牛に話し掛ける不審な坊主が一人。


みるくは、いかにも悟ってますと言うような細い目をしたそいつに、素っ気なくケツを向けた。


坊主は一瞬顔をしかめたが、

「いつもつれない人ですね。私はあなたを救おうと、あなたの願いを叶えて差し上げようと思って来たのに」

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